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「〇〇円から」を広告に書く前に ― 景表法の措置命令に学ぶ、最低料金表示の3つの確認

消費者庁は2026年9月18日、葬儀サービスに係るテレビコマーシャルの表示について、景品表示法第5条第2号(有利誤認)に該当するとして措置命令を行いました。表示された最低料金と、実際に必要だった費用の隔たりが問題とされた事例です。この一次資料を起点に、水素関連の事業者が「〇〇円から」といった最低料金表示を出す前に確認すべき点を、中立・出典つきで整理します。効果効能は扱いません。

2026-09-23 | 大河内 洋(スマートマーケティング株式会社 代表取締役)× AI権利・法令
対象:広報・販売・経営の方はじめての方OK所要:約7分

当サイトは中立の情報整理を目的とし、特定のAIサービス・水素製品・企業を推奨も批判もしません。本記事が扱うのは、消費者庁が公表した一次資料に記載された事実と、水素関連の事業者が今日から取れる実務対応だけです。個別事案の当否や見通しの評価は述べず、本文では事業者名・関係者名を扱いません(公表資料の記載は出典先でご確認ください)。本記事は法律相談ではなく、個別の判断は各社の顧問弁護士等にご確認ください。水素関連製品の多くは非医療機器(雑貨)であり、本記事は効果効能を扱いません。数値は出典に基づく事実のみを示します。

広告で示した最低料金と、実際に必要な費用が隔たっていると、取引条件について著しく有利と誤認される表示になりうる上段は広告で示した最低料金、中段は実際に必要な費用、下段はその隔たりが有利誤認と評価される流れ。最下部に、表示内容の決定を外部に委ねても表示の主体は供給する事業者である旨を示す。「〇〇円から」が景表法上の問題になる構造表示した最低料金で実際に利用できるのが例外的なら、取引条件の有利誤認になりうる① 広告で示した最低料金「〇〇円から」「月額〇〇円から」=一般消費者が「その金額で利用できる」と受け取る表示。② 実際に必要な費用僅かな場合を除き、それ以上の費用が必要だった=表示と実際が隔たっている。③ 実際よりも著しく有利と一般消費者に誤認される表示=景品表示法の有利誤認。周知徹底・再発の防止・同様の表示の停止が命じられうる。表示内容の決定を外部(制作会社・代理店・生成AI)に委ねても、表示の主体は供給する事業者。
最低料金表示は「その金額で実際に利用できるか」で評価される。出典:消費者庁「景品表示法に基づく措置命令について」(2026年9月18日/令和8年9月18日公表・葬儀サービスに係る表示)。

① これは何か(最低料金の表示に措置命令が出た)

消費者庁は2026年9月18日(令和8年9月18日)、葬儀サービスを供給する事業者に対し、同社が供給する葬儀サービスに係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号=有利誤認)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき措置命令を行いました(消表対第807号)。以下は、消費者庁の公表ページおよび公表資料に記載された事実です。

対象となったのは、貸切ホールを用いる家族葬に係る葬儀サービスで、表示媒体は地上波放送を通じて放送したテレビコマーシャルでした。公表資料によれば、例えば令和7年(2025年)3月1日から同月24日までの間、「1日1組 貸切ホール」との文字の映像、「選べるホールがこんなに」との音声と共に「えらべるホールがこんなに」との文字の映像、「お得なプランがこの価格から」との音声と共に「家族葬 10.45万円~ (税込)」との文字の映像等を表示するなどしており、あたかも、本件役務が、最低料金として10万4500円で提供されるかのように表示していた、とされています。

一方で実際は、本件役務の提供を受けるには、僅かな場合を除き、30万8000円以上の費用が必要であった、と公表資料に記載されています。命令の概要は、①この表示が取引条件について実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり景品表示法に違反する旨を一般消費者に周知徹底すること、②再発の防止策を講じて従業員に周知徹底すること、③今後、同様の表示を行わないこと、の3点です。

もう一点、実務上見落とせないのが「誰の表示か」の認定です。公表資料の「事実」欄には、当該事業者が「本件役務に係るテレビコマーシャルの表示内容の決定について広告制作等を行う事業者に委ねることにより、当該表示内容の決定に関与している」と記載されています。つまり、制作そのものを外部に委ねていても、役務を供給する事業者が表示の主体として扱われています。

水素関連の事業者にとって重要なのは、業種を問わず「〇〇円から」という最低料金の表示は、その金額で実際に利用できる場合が例外的であれば、取引条件の有利誤認になりうるという点です。特定の企業や業界の是非ではなく、表示のつくり方の話として読むのが中立的です。

② 水素業界での使いどころ(最低料金表示を点検する場面)

水素関連の販促でも、体験価格・月額・キャンペーン価格など、最低料金の表示が入りやすい場面があります。生成AIにコピーを書かせると、なおさら自動で入りがちです。場面ごとに「起こりうる景表法上の論点」と「公開前に確認すること」を中立に整理します(いずれも効果効能の表現は入れないことが前提です)。

場面起こりうる景表法上の論点公開前に確認すること
水素ガス吸入サービスの「体験〇〇円から」その最低料金で実際に利用できるのが例外的/付帯費用が別途必要最低料金が適用される条件と範囲を確認し、総額の目安と付帯費用を同じ画面に併記する(→水素と法律
水素関連機器のレンタル・定額プランの「月額〇〇円から」初期費用・最低契約期間・消耗品費が表示の外にある月額の前提条件(契約期間・初期費用・消耗品)を併記し、最低料金の適用条件を明記する
キャンペーン価格・「今だけ」等の期間限定表示比較対照価格の根拠が示せない/期間終了後も表示が残る比較対照価格の根拠と適用期間を記録し、期間が過ぎた表示を掲載したままにしない
生成AIにLP・広告コピー・バナー文言を書かせる「〇〇円から」「最安」等の価格訴求が指示なしに混入し、実際の料金体系と合わない出力の価格表現を自社の料金表と1件ずつ突き合わせ、裏付けのない最低料金表示は出さない
広告の制作・運用を代理店や制作会社に委託表示内容の決定を委ねていても、決定に関与していれば表示の主体は自社委託先任せにせず自社で料金表と照合し、誰がいつ最終確認したかを残す

ポイントは、最低料金の表示を「書けるかどうか」ではなく「その金額で実際に利用できる場合がどれだけあるか」で判断すること。AIが書いたか、外注先が書いたか、自社で書いたかに関わらず、照合は人の工程として固定します。

③ 第一歩(今日からの3ステップ)

  1. 自社の「〇〇円から」表示を棚卸しする。サイト・LP・チラシ・動画・SNS・広告文言のうち、最低料金や最安値に触れている箇所をすべて洗い出し、一覧にします。
  2. 各表示について「その金額で実際に利用できるのはどんな場合か」を料金表と実績で確認し、日付つきで記録する。例外的な場合しか当てはまらないなら、その表示は取り下げるか、適用条件と総額の目安を同じ画面に併記します。
  3. 価格表現の最終確認者を1人決める。AI生成コピーも外注原稿も、公開前に自社の料金表と突き合わせ、確認者と日付を残す運用にします(表示の主体は供給する自社である、という前提で固定します)。

④ 絶対の注意点(★法令ガード)

水素業界では、景品表示法薬機法を必ずセットで確認してください。価格の表示は「効能を書いていないから安全」ではありません。取引条件が実際よりも著しく有利だと一般消費者に誤認される表示は、それ自体が有利誤認として問題になりえます。

  • 裏付けのない「〇〇円から」「最安」を書かない。表示した最低料金で実際に利用できる場合が例外的であれば、有利誤認に問われうることを前提に、適用条件と総額の目安を併記してください(→水素と法律)。
  • 制作を外部や生成AIに委ねても、表示の主体は自社。表示内容の決定に関与している以上、委託先任せにはできません。公開前の照合と承認を自社の工程として残してください。
  • 効能表現・最上級表現を生成AIに自動で書かせない。水素関連製品の多くは非医療機器(雑貨)で、効果効能は標榜できません。AIが生成した効能語や「No.1」等をそのまま公開するのは薬機法・景表法上のリスクになります。
  • 公開前に必ず人がチェックする。承認ステップをONにし、価格表現の裏付けと効能表現の有無を人が確認してから公開します。判断に迷う表示は各社の顧問弁護士等にご確認ください。

よくある質問

「〇〇円から」と広告に書くこと自体が禁止ですか?
書くこと自体が一律に禁止されるわけではありません。問題になるのは、表示された最低料金で実際に利用できる場合が例外的であるなど、取引条件について実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される場合です。消費者庁が2026年9月18日に公表した措置命令の事例では、テレビコマーシャルで最低料金として10万4500円で提供されるかのように表示していた一方、実際には僅かな場合を除き30万8000円以上の費用が必要であったとされ、有利誤認に該当するとされました(→水素と法律)。
広告制作を外部に委託していれば、自社は表示の責任を負いませんか?
上記の公表資料には、当該事業者が「本件役務に係るテレビコマーシャルの表示内容の決定について広告制作等を行う事業者に委ねることにより、当該表示内容の決定に関与している」と記載されています。制作を外部に委ねていても、供給する事業者が表示の主体として扱われています。代理店や制作会社、さらに生成AIに文案を作らせる場合でも、社外に出す表示を最終的に決めているのは自社である、という前提で工程を組んでください。
AIに広告コピーを書かせると、なぜ価格表示のリスクになりやすいのですか?
生成AIは、指示していなくても「〇〇円から」「最安」「業界最安値」といった価格訴求を書き足すことがあるためです。自社の料金表と突き合わせないまま公開すると、裏付けのない最低料金表示になりえます。AIの出力をそのまま出さず、価格表現を料金表と照合する工程を公開前に人の手で入れてください。
水素関連製品は非医療機器(雑貨)ですが、それでも景表法は関係しますか?
はい。景品表示法は医療機器かどうかに関わらず商品・役務の表示全般が対象で、品質・内容の表示(優良誤認)だけでなく、価格その他の取引条件の表示(有利誤認)も含みます。加えて非医療機器(雑貨)は効果効能を標榜できないため、薬機法・景表法の両面で確認が必要です(→水素と法律)。
出典:消費者庁 報道発表「景品表示法に基づく措置命令について」掲載ページ(葬儀サービスに係る表示・令和8年9月18日/2026年9月18日公表・参照2026-09-23)同・公表資料PDF(措置命令の概要・別表・別添を含む一次資料。令和8年9月18日/2026年9月18日・参照2026-09-23) / ※本記事の事実・数値・条項・引用は、上記の消費者庁一次公表資料の記載に基づく(参照2026-09-23)。個別事案の当否・見通しの評価は述べない。事業者名および関係者名は中立の観点から本文で扱っていない(公表資料に記載)。生成AIに関する記述は、公表資料がAIについて述べたものではなく、「表示内容の決定を外部に委ねても表示の主体は供給する事業者」という認定を当サイトが実務に当てはめた整理である。
※本記事は中立の情報整理を目的とし、法律相談ではありません。事実・数値・条項は消費者庁の一次公表資料の記載に基づき、最新・詳細は各出典および各社の顧問弁護士等にご確認ください。個別事案の当否・見通しの評価は述べません。特定のAIサービス・水素製品・企業の推奨や順位づけは行わず、効果効能を示すものでもありません。
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