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「頼んで投稿してもらう」前に ― 口コミ・インフルエンサー施策とステマ規制(措置命令の実例から)

消費者庁は2026年8月6日、あるアプリの利用サービスの提供事業者2社に対し、対価を払って第三者にSNS投稿を依頼しながら、その関係を明らかにしていなかった表示について、景品表示法第5条第3号(ステルスマーケティング告示)に基づく措置命令を出しました。水素関連の事業者が口コミ・インフルエンサー・AI生成コンテンツで販促する前に、何を確認すべきかを一次公表資料に基づき中立に整理します。効果効能は扱いません。

2026-08-10 | 大河内 洋(スマートマーケティング株式会社 代表取締役)× AI権利・法令
対象:広報・販売・経営の方はじめての方OK所要:約6分

当サイトは中立の情報整理を目的とし、特定のAIサービス・水素製品・企業を推奨も批判もしません。本記事は、消費者庁が公表した事実(一次公表資料)と、水素関連の事業者が今日から取れる実務対応だけを扱います。個別事案の当否や見通しの評価は述べません。本記事は法律相談ではなく、個別の判断は各社の顧問弁護士等にご確認ください。水素関連製品の多くは非医療機器(雑貨)であり、本記事は効果効能を扱いません

依頼と対価がある第三者投稿は事業者の表示と扱われ、広告であることの明示が必要になる事業者が対価を条件に方針を示して投稿を依頼すると、その投稿は事業者の表示になる。依頼・対価の関係を明らかにしていないと判別困難な表示に該当する。明示すれば広告と分かる表示になる。「頼んで投稿してもらう」がなぜ自社の広告になるのか本流=依頼・対価がある投稿の流れ/グレー=関係なし(自然な感想)① 事業者が第三者に依頼(対価あり)対価の提供を条件に、事業者が指示する方針に沿った投稿を依頼する。② 表示内容の決定に事業者が関与 → 事業者の表示書いたのが第三者でも、事業者が決定に関与すれば「事業者の表示」と認められる。③a 依頼・対価を明らかにしない一般消費者が広告だと判別困難。=景表法第5条第3号に該当し得る。③b 広告であることを明示する「広告」「PR」「提供」等を投稿に明示。=広告と分かる表示になる。※対価も依頼もない自然な感想は、そもそもこの流れに乗らない(グレーの領域)。事業者ができるのは、依頼・対価の記録と、広告表示の徹底を自社の工程にすること。
対価を条件に依頼した第三者の投稿は「事業者の表示」と扱われ得る。依頼・対価の関係を明らかにしていないと判別困難な表示(ステマ)に該当し得るため、広告であることの明示が要る。

① これは何か(ステマ規制の措置命令が出た)

消費者庁は2026年8月6日(令和8年8月6日)、「SNOW」と称するアプリケーションの利用サービスの提供事業者2社に対し、景品表示法第5条第3号(いわゆるステルスマーケティング告示=令和5年内閣府告示第19号「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」)に該当する行為が認められたとして、同法第7条第1項に基づく措置命令を出しました(消表対第681号)。以下は、消費者庁の公表ページおよび公表資料に記載された事実です。

公表資料によれば、事業者が第三者に対し、対価の提供を条件に、事業者が指示する方針に沿った投稿をSNS(「X」と称するSNS)ですることを依頼し、その結果、第三者が投稿していました。消費者庁は、事業者が表示内容の決定に関与していることから、当該投稿は事業者の表示にあたると認定。そのうえで、第三者に依頼した投稿であることが明らかにされておらず、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であった、としています(対象となった投稿の期間は令和7年(2025年)4月以降)。

ここで水素業界にとって重要なのは、「投稿を書いたのが第三者でも、対価を払って依頼していれば自社の広告として扱われ得る」という考え方です。口コミ・インフルエンサー・アフィリエイト・UGC(利用者投稿)を使う販促は水素関連でも一般的で、同じ規制がそのまま当てはまります。

② 水素業界での使いどころ(施策ごとの確認ポイント)

水素関連の広報・販売で「第三者に投稿してもらう」施策を行う場合の、起こりうる論点と、依頼する前・公開前に確認することを中立に整理します(いずれも効果効能の表現は入れないことが前提です)。

施策起こりうる論点依頼前・公開前に確認すること
インフルエンサーに紹介を依頼対価(金銭・商品提供・割引)と依頼関係が隠れると、判別困難な表示(ステマ)に該当し得る投稿に「広告」「PR」「提供」等を明示してもらう。依頼内容と対価を記録に残す
口コミ・レビューの募集対価を条件に好意的投稿を求めると、事業者の表示と扱われ得る対価の有無を切り分け、対価があるものは広告として明示。誘導的な条件付けをしない
アフィリエイト・紹介報酬報酬付きの紹介記事・投稿は事業者の表示になり得る掲載側に広告明示を義務づけ、実施状況を確認する。効能・最上級表現の混入も点検
AI生成の口コミ風コンテンツ実体験でない体験談化/効能表現の自動混入体験談として出さない。広告と分かる表示にし、効能語(効く・改善・予防等)を入れない

③ 第一歩(今日からの3ステップ)

  1. 「対価あり × 依頼あり」の施策を洗い出し、記録の担当を決める。誰に、どんな対価(金銭・商品・割引)で、どんな方針の投稿を依頼したかを、日付つきで残します。
  2. 投稿に広告であることの明示を徹底する。「広告」「PR」「提供」等、一般消費者が広告だと判別できる表示を投稿側に入れてもらい、実施状況を自社で確認します。
  3. 公開前の最終確認者を1人決める。広告表示の有無と、効能・最上級表現が入っていないかを人が確認してから出す運用にします(誰が確認したかをたどれるようにする)。

④ 絶対の注意点(★法令ガード)

口コミ・インフルエンサー施策では、景品表示法(ステマ規制)に加えて、水素業界特有の薬機法もセットで確認してください。

  • ステマ規制(景表法第5条第3号・2023年10月〜)。対価を条件に依頼した第三者の投稿は、事業者の表示と扱われ得ます。依頼・対価の関係を隠さず、広告であることを明示してください(→水素と法律)。
  • 「書いたのは他人」では免れない。事業者が表示内容の決定に関与していれば、第三者の投稿でも事業者の責任として扱われ得ます。
  • 効能表現・最上級表現を書かせない。水素関連製品の多くは非医療機器(雑貨)で、効果効能は標榜できません。依頼した投稿やAI生成文に「効く・改善・予防・No.1」等が入らないよう点検します。
  • 体験談風の投稿をAIに作らせて体験談として出さない。実体験でないものを体験談として掲載しないでください。
  • 公開前に必ず人がチェックする。広告表示の有無・効能表現の有無を人が確認してから公開します。

よくある質問

インフルエンサーに水素商品を紹介してもらう投稿は、広告表示が必要ですか?
対価(金銭・商品提供・割引など)を条件に、事業者が方針を示して投稿を依頼した場合、その投稿は事業者自身の表示(=広告)として扱われ得ます。依頼・対価の関係を隠したままだと、一般消費者が広告だと判別できず、景品表示法第5条第3号(ステマ規制)の対象になり得ます。「PR」「広告」「提供」等、広告と分かる明示を投稿側に徹底してもらってください(→水素と法律)。
投稿文を書いたのは第三者(インフルエンサー)です。それでも当社の責任になりますか?
消費者庁の今回の公表資料では、事業者が表示内容の決定に関与している場合、第三者が投稿した表示であっても事業者の表示と認められる、とされています。「書いたのは他人だから」では免れません。誰に何を依頼し、どう対価を払ったかを記録し、広告表示の徹底までを自社の管理下に置いてください。
AIで生成した口コミ風の文章を、体験談として投稿してもよいですか?
実体験でないものを体験談として出すことは避けてください。加えて、水素関連製品の多くは非医療機器(雑貨)で、効果効能は標榜できません。AIが書いたかどうかに関わらず、広告は広告と分かる表示にし、効能表現を入れないことが前提です。
社内で先に決めておくべきことは何ですか?
①依頼する相手・対価・依頼内容を記録に残す担当、②投稿に「広告/PR」等の明示を確認する担当、③公開前の最終確認者を1人、の3点です。誰がいつ依頼し、広告表示を確認したかをたどれる運用にしておくと、後から説明できます。
※本記事は中立の情報整理を目的とし、法律相談ではありません。事実は消費者庁の一次公表資料の記載に基づき、最新・詳細は各出典および各社の顧問弁護士等にご確認ください。個別事案の当否・見通しの評価は述べません。特定のAIサービス・水素製品・企業の推奨や順位づけは行わず、効果効能を示すものでもありません。