水素業界の事業者のための、法令遵守と表示見直しの手引き ← 法律マップ目次奥付

無料公開 第1部(危機編)

【2026年最新】薬機法違反をやめよう!

水素業界の事業者のための
法令遵守と表示見直しの手引き

水素&健康業界AIインサイト 編集部

これは無料公開版です。第1部(危機編・第1〜5章)は全文をそのままお読みいただけます。その先の第2部(実践編・約8万字)とPDF版は、無料の会員登録でお読みいただけます。 続きを読む(無料会員登録)→

この本について

伝えたいことは、ひとつです。業界全体で、薬機法違反をやめませんか。

いま、二つのことが同時に起きています。ひとつは、水素をめぐる事故が公的な記録として残ったこと。もうひとつは、AIがサイトを丸ごと読むようになったことです。記録は取り下げられず、表示は文字として残っている限り拾われます。この二つが重なったとき何が起きるか──私たちは、この業界にいつ一斉の取り締まりが来てもおかしくない、と見ています。これは私たちの見立てであって、行政の予告ではありません。

怖いのは、罰そのものではありません。水素は応用の範囲が広く、関わる事業者も多い。だからこそ、表示の問題ひとつで業界全体が信用を失えば、失うものが大きすぎます。私たちはこの分野の可能性に賭けています。だからこそ、惜しいのです。

ですからこの本は、警告として書きました。ただし、誰かを名指しするためではありません。特定の会社も、商品も、人も、この本には出てきません。責めるために書いたものではないからです。

目指しているのは、ひとつだけです。事業者が自分でリスクに気づき、自分でWebサイトやSNSを直せる状態にすること。そのための手引きです。読んで終わりではなく、直すために引ける形にしました。

水素業界をよくしたい。盛り上げたい。もっと多くの人に、正しく広めたい。いつか日本を、世界に誇れる健康大国にしたい。それを、たくさんの人と分かち合いたい。そういう思いでつくりました。

決めごと四つ
一、効能は主張しません。「効く」とも「効かない」とも書きません。
二、誰も名指ししません。特定の企業・製品・人物・団体を責める箇所は、最初から最後まで一つもありません。掲載している「✕NG表現」はすべて直すべき表現の例であり、推奨ではありません。
三、根拠のないことは書きません。条番号・ガイドライン名・数値は、当サイトに収録された記述からのみ引いています。根拠が未収録の箇所は推測で埋めず【要出典:何が必要か】と明記しました。これは本書の欠落であると同時に、本書がどこまでを事実として扱ったかの境界線でもあります。
四、本書は法的助言ではありません。個別の広告・表示・取引の適法性は、所管官庁の最新の公表資料や弁護士等の専門家にご確認ください。制度は改正されます。施行日・条番号は必ず出典元の最新版をご確認ください。

目次

第1部 危機編 ── 2026年8月現在、水素業界に、いま何が起きているのか

第2部 実践編 ── 何を、どこまで、どう書けるのか

奥付 ── この本について

PART

第1部 危機編

2026年8月現在、水素業界に、いま何が起きているのか

第1部で、これから確認すること

  1. 水素吸入器の爆発事故が、明るみに出ている。(第1章)
  2. 消費者庁と国民生活センターは、水素業界に目を光らせている。(第1章)
  3. 同時にAI時代が急速に到来し、AIが企業を分析できるようになった。(第2章)
  4. 水素業界によくある薬機法違反は、完全に筒抜けになっている。(第2章)
  5. 法令遵守できていない関連プレイヤーは、全員が摘発される可能性が高まっている。(第4章)

一斉摘発は目前かもしれない。

CHAPTER 1

第1章 水素吸入器の爆発事故が明るみに出た。そして薬機法違反は、もう筒抜けだ

この章の結論だけ、先に

  1. 水素吸入器の爆発事故が、査読論文と公的記録の両方で明るみに出た。1-1
  2. 消費者庁と国民生活センターは、水素業界に目を光らせている。1-2
  3. AI時代が急速に到来し、薬機法違反は完全に筒抜けになっている。1-3

Webサイトを見直し、法令遵守のためのチェックをしましょう。

1-1水素吸入器の爆発事故が、明るみに出た

この節の結論水素吸入器の爆発事故は、うわさではなく、公的な記録になった。

これまで、水素吸入にまつわる「危ない」という話は、業界の内側で交わされる立ち話のようなものでした。出所のはっきりしない、確かめようのない話。だから売る側は「うわさに過ぎない」と考えることができました。その前提が、崩れました。

2026年、体内での水素爆発のリスクを正面から扱った査読論文が、国際的な学術誌に掲載されました。この論文には固有の識別番号(PMID 41489350)が振られており、誰でも、いつでも、この番号ひとつで本文にたどり着けます。なお、論文の題は「予防可能な(Preventable)」という語で始まります。水素が危ないからやめろ、という主張ではなく、管理を欠いたときのリスクは予防できる、という安全側からの指摘です。

出典:The International journal of risk & safety in medicine/Preventable in-body hydrogen explosions from high-concentration H₂(PMID 41489350)/2026年

図 1-1 体内水素爆発が「査読論文」になった 型2:因果の連鎖図
図 1-1 うわさが、消えない記録に変わった これまで ── うわさ 確かめようがないから、無視できた 立ち話で伝わる 出所がわからない 「証拠は?」と返せる 時間が経てば消える 査読を通り 掲載された 2026年 いま ── 査読論文 番号で引けるから、無視できない 誌名で特定できる 掲載年で特定できる PMIDで誰でも引ける 消えない・反論しにくい ※この論文は安全管理(予防可能なリスク)の指摘であり、水素の効果・効能を論じるものではない。 番号ひとつで、誰でも、いつでも、たどり着ける。 出典:The International journal of risk & safety in medicine/Preventable in-body hydrogen explosions from high-concentration H₂(PMID 41489350)/2026年(当サイトの研究データに収録)
【図1-1/型2:因果の連鎖図】うわさは反論できて時間で消える。査読論文は誌名・掲載年・識別番号で固定され、消えない。変わったのは「危険度」ではなく「記録の形」である。

公的な記録は、これだけではありません。飲料用の水素水生成器について、消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づいて報告された重大製品事故が、火災等12件として公表されています。公表は2022年、公表主体は消費者庁です。誰かの体験談ではなく、法律に基づいて届け出られ、行政が公表資料として出した記録です。

出典:消費者庁/消費生活用製品の重大製品事故:水素水生成器(飲料用)で火災等(10月7日)/2022年10月7日 https://www.caa.go.jp/notice/entry/030502/ /https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms202_221007_01.pdf

事故の中身を、これ以上追う必要はありません。この節で押さえるのは一点だけです。この業界のリスクは、もう「確かめようのないうわさ」ではなく、「番号で引ける記録」になった。それだけです。

1-2消費者庁と国民生活センターは、水素業界に目を光らせている

この節の結論消費者庁と国民生活センターは、すでに水素業界を見ている。

記録は、ひとりでに残るわけではありません。誰かが受け取り、集計し、公表するから記録になります。水素業界について言えば、その役目を担っているのが消費者庁と国民生活センターです。この二つの機関は、これから見はじめるのではありません。すでに、見ています。

消費者庁は「事故情報データバンク」で事故報告を集め続けています。業界紙の報道の中でも、そこへの事故報告に触れ、水素吸入器のあり方が問われる段階にある、と指摘されています。

出典:(業界紙記事の要約・当サイト収録のニュース記事)

※この段落は業界紙記事の要約にもとづくものです。消費者庁「事故情報データバンク」に登録された個別事案(件名・受付年月日・危害内容)そのものは、当サイトに収録がありません。

国民生活センターは、水素製品を実際に測って公表した実績があります。2016年12月15日、容器入り水素水及び水素水生成器についての商品テスト結果を公表しました。中身は第3章で扱います。ここで押さえるのは、そういう仕組みが実際に水素製品に対して動いた、という事実だけです。

出典:国民生活センター「容器入り水素水及び水素水生成器(pH等についての商品テスト結果)」2016年12月15日公表 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_2.html /当サイト収録(水素業界ニュース)

そして、制度に基づく公表も、番号で固定された論文も、取り下げが効きません。担当者の気分で消えるものではないという点で、両者は同じです。

図 1-2 消えない公的記録タイムライン 型1:年表・タイムライン
図 1-2 消えない公的記録 ── 時系列 2022年10月7日 水素水生成器(飲料用)で火災等 12件 消費者庁/重大製品事故として公表 2026年 体内水素爆発の査読論文 PMID 41489350/国際学術誌 法手続きで固定 ── 取り下げられない 識別番号で固定 ── 番号は変わらない (継続) 事故情報データバンクへの報告 【要出典:個別事案の一次データ】 あなたが黙っても、公的記録は残り続ける。 出典:消費者庁/消費生活用製品の重大製品事故:水素水生成器(飲料用)で火災等(10月7日)/2022年10月7日 | The International journal of risk & safety in medicine/Preventable in-body hydrogen explosions from high-concentration H₂(PMID 41489350)/2026年
【図1-2/型1:年表・タイムライン】2022年は法手続きによって、2026年は識別番号によって固定されている。固定のされ方は違うが、どちらも「取り下げ」が効かないという点で同じである。

1-3AIが企業を分析できるようになった。薬機法違反は完全に筒抜けだ

この節の結論薬機法違反の表示は、文字として残っている限り、すべて拾われている。

かつて、サイトを読むのは人でした。人には限界があるので、「小さい会社の古いページ」は、事実上、見られずに済んでいました。その前提が、崩れました。いま公開とは、全ページを機械にまるごと渡すことです。トップページも、何年も前のキャンペーンページも、区別なく同じ一覧に並びます。機械には「大手から順に見る」という発想がありません。その結果、水素業界によくある薬機法違反の表現は、いま完全に筒抜けになっています。拾われるかどうかを決めるのは、気づかれやすさではなく、文字として残っているかどうかです。「うちは小さいから」「あれは昔のページだから」は、もう通用しません。

もう、情報は集められたあとです。ここで問われるのは、集められてしまった事実をどう受け止めるかです。まず、いまの自分たちの表示を見て、直すべきところがあるなら、それを直すべきところだと認める。そのうえで、正しい形に作り直す。順番はこれ以外にありません。知らないうちに違反してしまうことは、正直、あると思います。条文は数が多く、言い回しも独特で、誰もが最初から全部を知っているわけではない。ただ、法律がある以上、「知らなかった」は理由になりません。社会の中で商売をするというのは、そういうことです。だからこそ、気づいたその場所から、すぐに直す。気づいたところから順に、一つずつ訂正していく。それが、いま自分たちにできる、いちばん確実な備えです。

では、AIは具体的にどうやってサイトを読み、どの一文を拾うのか。その具体は、次の第2章がまるごと引き受けます。

CHAPTER 2

第2章 AIは、あなたのサイトを全部読んでいる。薬機法違反の表示も、そのまま読まれている。

この章を3行で

  1. 公開したページは、人が読む前に、機械が全ページまとめて読める状態に置かれている。
  2. 機械にとって、会社の大きさは読む順番にも読む量にも関係がない。
  3. だから「見つからないから大丈夫」は、もう前提として成り立たない。

この章の結論:問題は「誰かに見つかるか」ではない。すでに、読める形で置いてある、ということだ。

2-1サイトはもう、人ではなくAIが全ページ読んでいる

この節の結論公開とは「読まれる」ことではなく、「全ページの一覧を機械に渡す」ことである。

ウェブサイトを公開するとき、私たちは無意識に2つのファイルを一緒に置いています。robots.txtsitemap.xml です。制作会社に任せていれば、まず入っています。入っていないほうが珍しい。

この2つが何をしているか、正確に見てみます。当サイト(水素&健康業界AIインサイト)の robots.txt には、こう書いてあります。

  • User-agent: * ── 「すべての機械(ロボット)に対して」という意味です。特定の会社の機械ではなく、全部です。
  • Allow: / ── 「サイトの全部を読んでよい」という意味です。一部ではなく、全部です。
  • Sitemap: ── サイトマップの場所を教えています。サイトマップとは、全ページのURLを並べた一覧表です。

そしてサイトマップには、当サイトの場合、3,943件のURLが列挙されています。これは「探してください」ではありません。「一覧を差し上げます」です。機械の側は、リンクをたどって迷子になる必要すらない。最初から全部の住所を受け取っています。

出典:当サイトの公開ファイル /robots.txt(記載内容:User-agent: * / Allow: / / Sitemap の指定)、および /sitemap.xml(列挙URL数 3,943件・当編集部による実測)。

ここで、多くの方が「うちはそんな設定にしていない」と思われるかもしれません。ほぼ確実に、しています。この設定は特殊なものではなく、検索されたいサイトの標準設定だからです。むしろ、これを外すと検索結果に出なくなります。つまり私たちは、集客のために、自分から「全ページを機械に開放する」と宣言している。それが公開という行為の中身です。

人が読むのと、機械が読むのは、まったく違う作業になった

人がサイトを読むときは、トップページを見て、気になったページを開いて、途中で飽きます。10ページも読めば多いほうです。だから事業者の側にも、「奥のほうのページは、まあ見られないだろう」という感覚が残ります。3年前に書いたブログ記事、代理店向けに置いた素材ページ、キャンペーン終了後もURLだけ残っているLP。──あのあたりは、実質的に無いのと同じ。そう思ってしまう。

機械には、その感覚がありません。機械にとって、トップページと3年前のブログ記事は同じ1件です。順番も、重みも、飽きもない。3,943件あれば3,943件を読み、テキストとして保存します。しかも、読んだあとが違います。人は読んで忘れますが、機械は読んで並べます。「疾病名が入っている文を全部出せ」と言われれば、出せる形にして持っている。

この差が、いま何を意味するか。──「うちのサイトのどこかに、まずい一文が残っているかもしれない」という不安が、事業者の側では探し出せない不安であるのに対し、外から見ると一覧にできる事実になっている、ということです。守る側だけが全体を把握できていない。この非対称が、この章のすべてです。

図 2-1-1 「公開する」とは、全ページの一覧を機械に渡すことである 型2:因果の連鎖図
図 2-1-1 「公開する」とは、全ページの一覧を機械に渡すことである サイトを公開する 検索されたいから、 当然そうする 全ページを開放する User-agent: * Allow: / 一覧を渡す サイトマップ (当サイトは 3,943件) 全文が保存される 読む順番も、量の 上限も、関係がない ①〜④のどこにも、特別な操作はない。むしろ①②は「検索で見つけてもらう」ための標準設定である。 つまり、集客のためにやっていることが、そのまま全文公開の手続きになっている。 見つかるかどうかの問題ではない。もう、渡してある。 出典:当サイトの公開ファイル /robots.txt / /sitemap.xml(列挙URL数 3,943件・当編集部実測)
①②は検索エンジンに見つけてもらうための一般的な設定であり、特殊な公開設定ではありません。当サイトの実測値を例として示しています。他社サイトの設定状況を示すものではありません。
私たちは、すでにそれをやっている

当編集部は、水素関連の学術論文を機械的に収集しています。現在の収録は4,084件、世界3,606機関、対象年2006〜2026年、うち日本の機関は237機関です。これは、人が1件ずつ探して積み上げた数ではありません。機械が集めた数です。

出典:当サイトの研究マップページ掲載の収録件数。当編集部による、研究データ内の年別実数の再集計(2006年3件〜2026年147件・合計4,084件)と一致することを確認済み。なお件数は研究量であり、効果の有無・大小を示すものではありません。

さらに私たちは、収集した記事の文章に対して、効能の断定表現が入っていないかを機械で判定する仕組みを運用しています。この仕組みは、たとえば「〇〇によると改善する」のように誰かの発言として引用された効能表現と、出どころを示さずに自分の断定として書かれた効能表現とを分けて扱います。後者のほうを重い警告として扱う設計です。加えて、「効能表現が無かった」場合と「そもそも判定できなかった」場合を、同じ表示にしないようにしています。

ここで強調したいのは、技術のすごさではありません。逆です。これは、特別な技術ではないということです。取り立てて大きな組織でなくても、専門の研究所でなくても、この程度のことは動かせる。現に、私たちのような小さな編集部が動かしています。

ということは、こう考えるのが自然です。──同じことを、他の誰かがやっていない理由はない。

※行政機関が実際にこうした機械的な巡回・照合を行っているかを示す資料は、当サイトに収録がありません。ここで述べているのは、技術的に誰にでもできるという点までです。

2-2「小さい会社だから見つからない」は、もう成立しない

この節の結論機械には「大手から順に見る」という発想がない。全部が同じ1件である。

この本を読んでくださっている方の中には、社員数人の会社の方も、ひとりで代理店をされている方も、制作を請け負っているだけの方もいらっしゃると思います。そういう方から、いちばんよく聞く言葉があります。

「うちみたいな小さいところまでは、さすがに来ないでしょう」

この感覚には、ちゃんとした理由があります。人が調べる場合には、実際そのとおりだったからです。人には時間の上限があります。調べる人数にも限りがある。だから、影響の大きいところ、売上の大きいところ、目立つところから見ていく。それが合理的でした。小さい会社が後回しになるのは、意地悪ではなく、単に順番の問題だったわけです。

この前提が崩れたのは、調べる側が人だけではなくなったからです。

「順番」という概念が消えると、何が起きるか

機械にとって、1ページを読む手間はほぼ一定です。大手のトップページも、個人サイトの5年前の記事も、処理としては同じ1件。だから「大きいものから順に」という発想自体が発生しません。むしろ、条件に合うものを全部並べるほうが自然な作業になります。

そうすると、こういう逆転が起きます。人が調べていた時代は、大きい会社ほど目立ち、危なかった。機械が並べる時代は、大きい会社は法務チェックを通っていて、小さい会社の古いページのほうが引っかかりやすい。規模は、守りではなく、むしろ弱点の側に回っている可能性がある。

もうひとつ、見落とされがちなことがあります。それは、並べた一覧を作れるのは行政だけではないということです。同じ条件で並べることは、競合他社にもできます。取引が終わった元代理店にもできます。記事を書きたいライターにもできます。消費者団体にもできます。──そして、そうやって作られた一覧は、当事者の目に触れないところで先に出来上がります。「指摘が来た」と思ったときには、たいてい、一覧はもう存在しています。

図 2-2-1 「人が調べる」と「機械が並べる」では、規模の意味が反転する 型3:範囲の比較図
図 2-2-1 「人が調べる」と「機械が並べる」では、規模の意味が反転する これまで ── 人が順番に調べる 調べられる件数に上限がある 影響の大きい順に見ていく 古いページまでは手が回らない 結果:小さい会社は後回しになった ── 規模が、事実上の盾になっていた いま ── 機械が条件で並べる 件数の上限が実質的にない 大小の区別なく、同じ1件として扱う 古いページも、消していなければ対象 結果:規模は、もう盾にならない ── 法務を持たない側が、先に残る 「小さいから見つからない」は、人が調べていた時代の話である。 ※本図は、公開ページが機械可読の状態にあるという事実(図2-1-1)からの論理的な整理であり、特定機関の運用を示すものではない。 出典:構造図(事実主張ではない)。前提事実は 当サイトの公開ファイル /robots.txt / /sitemap.xml による。
本図は構造の整理であり、特定の機関・企業が実際にこうした一覧を作成していると主張するものではありません。「規模が小さいほど検査対象になりにくい/なりやすい」ことを示す統計は、当サイト内に収録がありません(【要出典】)。

2-3薬機法違反は、もうバレていると思ったほうがいい

この節の結論拾われるかどうかを決めるのは、気づかれやすさではなく、文字として残っているかどうかである。

薬機法まわりの表現は、機械にとってもっとも拾いやすい部類に入ります。理由は単純で、条文と行政の資料が、どういう表現が問題になるかをかなり具体的に示しているからです。

当サイトの法令ページには、次のような整理を収録しています。

  • 薬機法 第66条は、明示・暗示を問わず、効能・効果等について虚偽または誇大な記事を広告・記述・流布することを禁じています。つまり「はっきり書いていないから大丈夫」は通りません。
  • 薬機法 第68条は、承認を受けていない医薬品等について、その効能・効果に関する広告を禁じています。雑貨として売っている商品で疾病名を出せば、ここに触れ得ます。
  • そして、非医療機器(雑貨)である以上、効果効能は誰が言っても標榜できないという横断的な原則があります。社長が言っても、お客様が言っても、監修の先生が言っても、同じです。

出典:当サイト「薬機法・景品表示法 早わかり」ページ収録の整理より。薬機法は e-Gov 法令検索(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律・335AC0000000145)、および厚生労働省「医薬品等適正広告基準」(薬生監麻発0929第5号/平成29年9月29日)を出典として掲載。

「危険ワード」は、すでに一覧になっている

さらに具体的な話をします。当サイトには、危険ワード・ライブラリという一覧を収録しています。分野ごとに、どういう言葉が危ないかを危険度3段階で整理したものです。たとえば、がん・循環器・アレルギー・神経の分野で使われる断定表現は危険度3(確実にNG)、関節・睡眠・美容・代謝の分野の表現は危険度2(高リスク)といった整理になっています。水素業界に固有のものとしては、「悪玉活性酸素を除去」「抗酸化で病気予防」、および「好転反応」「毒素が出ている」を危険度3として挙げています。

出典:当サイト「薬機法・景品表示法 早わかり」ページ収録「危険ワード・ライブラリ」。危険度は当サイトの整理であり、行政の公式な区分ではありません。

ここが重要なところです。──危ない言葉の一覧は、もう公開されている。私たちが公開していますし、同様の整理は他にもあります。ということは、「一覧に載っている言葉が、自社サイトの何ページ目に何回出てくるか」を数える作業は、もう手作業ではありません。一覧と、全ページの本文。この2つがあれば、突き合わせは自動でできます。

そして先ほど確認したとおり、全ページの本文は、すでに渡してあります(図2-1-1)。

それでも「うちは大丈夫」と思えてしまう理由

ここまで読んでも、多くの方は、まだ自分の話だと感じないはずです。それには理由があります。直接的な表現は、もうほとんどの会社が消しているからです。「がんが治る」とトップページに書いている会社は、さすがに、そう多くありません。

問題は、消したあとに何を置いたか、です。よくあるのは、次のような置き換えです。

  • 断定をやめて、お客様の声にした。──体験談による暗示も、標榜に該当し得ます(当サイト法令ページ 事例03)。
  • 断定をやめて、監修の先生のコメントにした。──医薬関係者の推薦は原則として認められません(同 事例04)。
  • 断定をやめて、グラフと数値にした。──裏づけのない数値は優良誤認に直結します(同 事例05)。
  • 断定をやめて、「〜と言われています」にした。──第66条は明示・暗示を問いません。

つまり、多くの現場でおこなわれた「対策」は、言い方を柔らかくする対策でした。機械にとって、この対策はほとんど意味がありません。柔らかい言い方も文字だからです。むしろ、体験談・監修コメント・グラフは、それぞれ形式が決まっているぶん、見つけやすいとさえ言えます。

図 2-3-1 その一文は、機械の照合で拾われるか(判定フロー) 型5:判定フロー図
図 2-3-1 その一文は、機械の照合で拾われるか(判定フロー) Q0 その一文は、いま公開されているページに載っているか いいえ → 社内資料。ただし代理店に渡した時点で公開と同じ。 はい Q1 疾病名・症状名が入っているか はい → 一致だけで拾える 危険度3の語が並んだ一覧が、すでに公開されている いいえ Q2 身体機能の増強・維持を言っているか はい → 語の組み合わせで拾える 医薬品的な効能効果に該当し得る(事例02) いいえ Q3 体験談・監修コメント・数値グラフで示しているか はい → 形式が決まっている分、拾いやすい 事例03・04・05に該当し得る いいえ Q4 「〜と言われています」等でぼかしているか はい → ぼかしても対象になり得る 第66条は「明示的であると暗示的であるとを問わず」 いいえ 成分・容量・使い方など、事実の記述にとどまっている ── これが、本書が目指す状態です(第6章・第7章で具体的に扱います) Q1〜Q4のどれも、「読んだ人が不快に思うか」では判定していない。判定しているのは、 文字として何が置いてあるか、である。だから、気づかれにくさは守りにならない。 出典:当サイトの法令解説ページ(薬機法 第66条・第68条/事例01〜05/危険ワード・ライブラリ)。判定フローの構成は当編集部による整理。
本図は自社の文章を点検するための整理です。個別の表現が違法かどうかの最終判断は、所管官庁の最新の公表資料および弁護士等の専門家にご確認ください。危険度の区分は当サイトの整理であり、行政の公式区分ではありません。
「まだ言われていない」は、「問題がない」ではない

最後に、この節でいちばん誤解されやすい点を書いておきます。今日まで何も言われていないことは、問題がないことの証明にはなりません。第1章で見たとおり、公表という行為は、制度が動いた結果としてあとから出てきます。順番としては、まず状態があり、次に指摘があり、最後に公表がある。指摘が来ていない段階は、状態が無い段階ではなく、まだ順番が来ていない段階です。

そして、この本の目的はここにあります。指摘が来る前に直せば、それはただの更新作業です。来てから直すと、同じ作業が「対応」になります。作業の中身は変わりません。変わるのは、直したことが誰の記録に残るか、だけです。

なお、本書は行政が機械で監視しているという主張はしていません。その裏づけは当サイト内になく、【要出典】として空けたままです。それでも危機の中身は変わりません。危機は「誰かが見ているかもしれない」ことではなく、すでに読める形で置いてあること自体だからです。

CHAPTER 3

第3章 あのとき、水素水は「効果がない」ことにされた

この章を3行で

  1. 2016年、公的機関が水素水の商品テスト結果を公表した。調べられたのは「効くかどうか」ではなく「表示どおりか」だった。
  2. それでも業界に残ったのは、「表示が違っていた」ではなく「水素は効かない」という要約だった。
  3. 要約は、正確さと関係なく、資料より長く生き残る。

この章の結論:私たちは一度、表示の問題で負けたのに、効果の問題で負けたと思い込んでいる。

3-1「表示どおりの水素濃度を保てていない」── 24銘柄を調べた結果が公表された

この節の結論公表されたのは、効果の否定ではない。表示と実測の食い違いである。

2016年12月15日、独立行政法人 国民生活センターが、商品テストの結果を公表しました。タイトルは「容器入り水素水及び水素水生成器(pH等についての商品テスト結果)」です。

調べられた対象と項目は、次のとおりです。

表 3-1-1 2016年の商品テストで、何が調べられたか 型7:チェックリスト表
区分内容意味するところ
対象①容器入り水素水 24銘柄1銘柄や2銘柄ではなく、市場に出ているものをまとめて調べている。
対象②水素水生成器 7銘柄飲料そのものだけでなく、機器も同時に対象になっている。
測定項目溶存水素濃度/pH/容器開封後の保持性いずれも「測れば数値が出る」項目である。主観や体感は入らない。
公表された内容容器入りの多くで表示どおりの水素濃度を保てていない実態問われたのは、書いてある数値と、実際の数値との差である。
あわせて整理消費者が「水素水」「水素濃度」表示を読み解く際の注意点読み手の側に、表示を疑う視点が渡された。
出典:独立行政法人 国民生活センター「容器入り水素水及び水素水生成器(pH等についての商品テスト結果)」2016年12月15日公表 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_2.html (当サイト収録)。銘柄名は本書では扱いません。

出典:独立行政法人 国民生活センター「容器入り水素水及び水素水生成器(pH等についての商品テスト結果)」2016年12月15日公表 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_2.html /当サイト収録。

ここを読み違えると、対策が全部ずれる

この公表について、業界の中でいちばん多く語られてきた要約は、たぶんこうです。──「水素水は効かない、と国に言われた」。

けれど、公表された内容をそのまま読むと、そうは書かれていません。測定されたのは溶存水素濃度・pH・容器開封後の保持性です。これは、効果の有無を判定する項目ではありません。「書いてある濃度が、実際に入っているか」「開けたあと、どれだけ保つか」を測る項目です。

つまり問われたのは、効き目ではなく、表示の正確さでした。

この違いは、感情的にはささいに見えて、実務的には決定的です。なぜなら、対策がまったく変わるからです。

  • 「効かないと言われた」と受け取ると、対策は「もっと効くと言う」方向に向かいます。濃度をうたい、体験談を足し、グラフを載せる。──これは、第2章で見たとおり、いちばん拾われやすい形です。
  • 「表示が実測と違うと言われた」と受け取ると、対策は「書いてあることを、測れる範囲に合わせる」方向に向かいます。条件を明記し、測定時点を書き、保証できない数値を落とす。──こちらが、本来の対策です。

2016年以降、業界の多くは前者に向かったのではないでしょうか。私たちはそれを責める立場にありません。当時、公表の中身より先に「効かないらしい」という要約が広まったのだとすれば、それに反論したくなるのは自然なことです。ただ、反論の方向が、法令上いちばん危ない方向だった。そのことだけは、いま確認しておく必要があります。

図 3-1-1 調べられたのは「効くか」ではなく「表示どおりか」 型3:範囲の比較図
図 3-1-1 調べられたのは「効くか」ではなく「表示どおりか」 公表資料が扱った範囲 溶存水素濃度(表示値と実測値) pH 容器開封後の保持性 ── いずれも、測れば数値が出る項目 対象:容器入り24銘柄/生成器7銘柄 公表資料が扱っていない範囲 身体への効果があるかどうか 病気への影響があるかどうか 水素そのものの評価 ── 測定項目に含まれていない 本書も、効果の有無は述べません 負けたのは表示である。効果の議論に反撃しても、負けは埋まらない。 出典:国民生活センター「容器入り水素水及び水素水生成器(pH等についての商品テスト結果)」2016年12月15日公表(当サイト収録) ※右側は「効果が無いと確認された」という意味ではなく、「この資料の対象ではない」という意味である。
右側の枠は、効果の有無が否定されたことを意味しません。この公表資料の測定対象に含まれていない、という意味です。本書は水素の効果・効能について、あるともないとも述べません。

3-2たった一本の発表で、誠実にやっていた会社までまとめて沈んだ

この節の結論公表は銘柄ごとに行われるが、要約はカテゴリごとに広まる。

ここから先は、構造の話です。先に断っておきますが、「2016年の公表のあと、業界の売上や事業者数がどう変化したか」を示す統計を、私たちは持っていません。当サイト内に収録がないため、数字では語りません。この節は、数字ではなく、伝わり方のしくみの話として読んでください。

そのうえで、伝わり方には、はっきりした型があります。

公表資料は、対象を限定して書かれます。今回で言えば、容器入り24銘柄と生成器7銘柄。調べていないものについては何も言っていません。ここまでは正確です。

ところが、資料が資料のまま読まれることは、ほとんどありません。まず記事になり、記事が見出しになり、見出しが会話になります。この過程で、限定条件から順に落ちていきます。落ちる順番も決まっています。銘柄名が落ち、測定項目が落ち、調査時点が落ちる。最後に残るのは、いちばん短い一言です。

そして、いちばん短い一言は、たいていカテゴリ名でできています。「水素水は」。

ここに、この業界にとって残酷な非対称があります。公表は個別に行われ、要約はカテゴリで行われる。だから、調べられていない会社にも要約は届きます。表示を正確に書いていた会社にも届きます。そもそも容器入りを売っていない会社にも届きます。届いたあと、「うちは調べられていません」と説明しても、説明は要約より短くならないので、追いつけません。

巻き込まれた側が、いちばん強く反発してしまう

もうひとつ、見ておきたい動きがあります。要約に巻き込まれたとき、いちばん強く反発するのは、たいていまじめにやっていた会社です。当然です。事実と違うのですから。

問題は、その反発が向かう先です。「効かないというのは誤りだ」と言いたくなる。そして、それを証明しようとして、効果の話を始めてしまう。──効果の話を始めた瞬間に、こんどは薬機法の側に入ります。表示の問題で受けた傷を、効能の主張で埋めようとすると、より重い問題に足を踏み入れることになる。

第2章までで見たとおり、いま置いてある文章は、まとめて読める形になっています。2016年前後に、反発として書かれた文章が、いま残っているとしたら。──それは、当時の気持ちとしては正しくても、いまの状態としては危ない。この本が第7章でページ別の点検を扱うのは、そのためです。

図 3-2-1 公表は個別に、要約はカテゴリで ── 巻き込みの構造 型2:因果の連鎖図
図 3-2-1 公表は個別に、要約はカテゴリで ── 巻き込みの構造 ① 公表資料(限定条件つき・正確) 容器入り24銘柄/生成器7銘柄について、溶存水素濃度・pH・開封後の保持性を測定した結果 銘柄名が落ちる ② 記事になる 市販の水素水の多くで、表示どおりの濃度が保てていなかった 測定項目が落ちる ③ 見出しになる 水素水、表示に疑問 調査時点も、対象範囲も落ちる ④ 会話に残る(もっとも短い形) 「水素水って、効かないんでしょ」 ④は①のどこにも書かれていない。だが、①に戻って読む人はほとんどいない。 そして④は、調べられていない会社にも、正確に表示していた会社にも、同じように届く。 出典:①は国民生活センター 2016年12月15日公表(当サイト収録)。②〜④は要約が短縮される過程の整理であり、特定の報道・発言を指すものではない。 ※公表後の市場規模・事業者数の推移を示す統計は当サイト内に未収録(【要出典】)。本図は量ではなく構造を示す。
②〜④は、実際の特定の記事・見出し・発言を引用したものではなく、要約が短くなる過程を示すための例示です。

3-3「水素は効かない」は、いまも検索結果に残り続けている

この節の結論資料は更新されるが、要約は更新されない。だから古い評価のほうが長く残る。

この節も、はじめに正直に書いておきます。「水素は効かない」という評価が現在どれだけ検索結果に残っているかを示すデータを、私たちは持っていません。当サイト内に収録がないため、件数や順位では語りません。

そのうえで、確実に言えることがあります。──2016年の公表資料は、いまも公開されているということです。第1章で確認したとおり、公的な公表資料は、取り下げを前提に作られていません。10年前の資料が、10年後の今日も、同じURLで読める。それが公表という制度の性質です。

ここに、第2章の話が重なります。公開されているものは、機械にとって「いま存在するもの」です。2016年のページも、今日書いたページも、同じ1件として扱われます。日付は属性のひとつにすぎず、古いから読まれない、ということはありません。

更新されるものと、されないもの

ここで、時間の経ち方が2種類あることに注意してください。

  • 更新されるもの:商品そのもの。製造方法。容器。表示。会社の体制。──これらは、この10年で変わった会社が多いはずです。実際に直した会社もあるでしょう。
  • 更新されないもの:公表された資料。それを引用した記事。そこから生まれた要約。──これらは、誰も更新しません。更新する動機を持つ人がいないからです。

この非対称が意味するのは、直した会社ほど損をしているということです。直したことは、直した会社の中にしか記録されていません。一方、直す前の評価は、外側に記録されたままになっている。

そして、これは今回の危機にそのまま当てはまります。第1章で見た2022年の公表と2026年の論文も、同じ性質を持っています。いま何もしなければ、10年後に同じことを言うことになります。「あのときのイメージが残っていて」と。

だから、この本の提案はひとつだけです。──外側の記録は動かせません。動かせるのは、こちら側の記述だけです。であれば、こちら側を、いま、正確な状態にしておく。それ以外に、10年後に見せられるものはありません。

図 3-3-1 更新されるもの/されないもの(時間の非対称) 型1:年表・タイムライン
図 3-3-1 更新されるもの/されないもの(時間の非対称) 更新される側(社内にしか記録が残らない) 製造・容器を見直す 表示を書き直す 社内体制を整える ── 外からは見えない 2016年 現在 更新されない側(外に記録が残り続ける) 公表資料(同じURL) それを引用した記事 そこから生まれた要約 ── 誰も更新しない 直した会社ほど損をする。直した記録が、外側に無いからだ。 ※検索結果における残存の実測データは当サイト内に未収録(【要出典】)。本図は記録の性質からの整理である。
本図は、公表資料が取り下げを前提に作られていないという性質(第1章)からの整理です。検索順位や露出量を測定したものではありません。

CHAPTER 4

第4章 今回は、あのときと違う。沈むのはメーカーだけではない

この章を5行で

  1. 前回は、商品の話で終わった。今回は表示の話なので、商品を持っていない人にも届く。
  2. 景品表示法には課徴金があり、薬機法にも課徴金がある。制度は「注意して終わり」から動いている。
  3. ステマ規制の名あて人は広告主だが、代理店・広告作成者が別の経路で手続の対象となった事例が収録されている。
  4. 痛む人が増えるほど、業界は内側から崩れる。責任のなすり合いが始まるからだ。
  5. それでも、終わるのは水素ではない。終わるのは、いまの売り方のほうである。

この章の結論:今回は、商品を持っていない人まで当事者になる。だから、業界ごと沈み得る。

4-1前回は「商品の話」で終わった。今回はそうならない

この節の結論商品を測る話なら、商品を持つ人だけの話で済む。表示を問う話は、そうならない。

第3章で見たとおり、2016年に調べられたのは商品そのものでした。溶存水素濃度、pH、開封後の保持性。──これらを測られて困るのは、その商品を作った会社と、売った会社です。記事を書いた人は測られませんし、サイトを作った会社も測られません。だから前回、業界の外周にいた方々は、ほとんど痛みませんでした。

今回は、性質が違います。いま問題になっているのは、何と書いてあるかです。そして、書くという行為は、商品を持っていなくてもできます。むしろ、商品を持っていない人のほうがたくさん書いている、というのが今日のウェブの実情です。

ここで、当サイトの法令ページに収録している整理を一つ挙げます。広告に当たるかどうかは、3つの要件で判断されるという整理です。

  • ① 顧客誘引性 ── 顧客を誘い込む意図があること。
  • ② 商品特定性 ── 特定の商品が明らかにされていること。
  • ③ 一般人認知可能性 ── 一般の人が認識できる状態にあること。

出典:当サイト「薬機法・景品表示法 早わかり」ページ収録「広告該当性の3要件」より。

この3つを、よく見てください。どこにも「商品を売っている人が書いた場合に限る」とは書かれていません。書き手が誰かではなく、書かれたものが3つの要件を満たすかどうかで判断される、という構造です。

だから、こうなります。──比較サイトの記事も、ブログのレビューも、代理店が独自に作ったLPも、条件を満たせば広告として扱われ得る。「うちは商品を持っていないから関係ない」という理屈は、ここでは効きません。

表 4-1-1 前回(2016年)と今回で、何が変わったか 型9:前回vs今回 比較表
論点前回 ── 商品の話今回 ── 表示の話
問われたもの溶存水素濃度・pH・開封後の保持性何と書いてあるか(明示・暗示を問わない)
対象になる人商品を作った人・売った人書いた人・作らせた人・出した人
必要な設備製造設備・在庫が必要不要。文章があれば成立する
逃げ場「うちの銘柄ではない」が成立した「うちの商品ではない」は理由にならない
関係する法律主に表示・品質の問題として扱われた薬機法・景品表示法・ステマ規制・特定商取引法ほか
出典:左列は国民生活センター 2016年12月15日公表資料(当サイト収録)の測定項目より。右列は当サイト「薬機法・景品表示法 早わかり」ページ収録の各法の整理(広告該当性の3要件・薬機法第66条ほか)より。表の対比は当編集部による整理です。

4-2ルールが変わった。責任は、売った人だけのものではなくなった

この節の結論制度は「注意して終わり」から、金額のつく段階に進んでいる。

「ルールが変わった」と書きましたが、感覚的な話ではありません。当サイトに収録している範囲で、はっきりした変更が3つあります。順に見ます。

変更① 課徴金制度がある(景品表示法)

景品表示法には課徴金の規定があります。当サイトの整理では、景品表示法 第7条が措置命令、第8条が課徴金にあたり、課徴金の算定は3%として掲載しています。

そして、優良誤認について重要な点があります。景品表示法 第5条第1号(優良誤認)は、故意・過失を問いません。知らなかった、悪気はなかった、下請けが勝手に書いた──それらは、成立の有無そのものには影響しません。

さらに第7条第2項には、不実証広告規制があります。これは、表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められる、という仕組みです。「根拠を持っていない」ことが、そのまま問題になり得る、ということです。

出典:当サイト「薬機法・景品表示法 早わかり」ページ収録の景品表示法の整理(第5条第1号 優良誤認/第5条第2号 有利誤認/第7条 措置命令/第7条第2項 不実証広告規制/第8条 課徴金3%)。法令本文は e-Gov 法令検索(不当景品類及び不当表示防止法・337AC0000000134)、および消費者庁の課徴金制度説明資料を出典として掲載。

変更② 薬機法にも課徴金がある

薬機法についても、当サイトは第75条の5の2の課徴金納付命令を収録しています。算定は売上額の4.5%、施行は令和3年8月1日です。

ここには、実務上とても大事な但し書きがあります。当サイトの整理では、第68条(未承認医薬品等の広告禁止)に違反した広告は、課徴金の直接の対象外とされています。ただし、指示・命令等の対象にはなります。──つまり「課徴金が来ないから軽い」ではありません。経路が違うだけです。

出典:当サイト「薬機法・景品表示法 早わかり」ページ収録の薬機法の整理(第66条/第68条/第75条の5の2 課徴金 売上額4.5%・令和3年8月1日施行)。法令本文は e-Gov 法令検索(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律・335AC0000000145)を出典として掲載。

変更③ ステマ規制ができた(2023年10月1日)

3つめが、いちばん新しい変更です。令和5年(2023年)10月1日、景品表示法の第5条第3号にもとづく指定告示が施行されました。対象となるのは、当サイトの整理では「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」です。

平たく言えば、広告なのに広告に見えない表示です。

ここで、多くの解説が省いてしまう重要な点を、正確に書いておきます。当サイトの整理によれば、この規制の名あて人は「事業者(広告主)」です。依頼を受けたインフルエンサー等の第三者自身は、本規制の名あて人ではありません。ただし、広告主側の責任として問われる構造になっています。

そして、適用される媒体はSNSやレビューに限りません。テレビ・新聞・雑誌等も含まれます。加えて、アフィリエイト記事・比較サイトも、事業者の表示と評価される場合は対象になり得ます

出典:当サイト「薬機法・景品表示法 早わかり」ページ収録のステマ規制の整理(景品表示法 第5条第3号の指定告示/令和5年10月1日施行/名あて人は事業者(広告主)/適用媒体はSNS・レビューに限らない/アフィリエイト記事・比較サイトも事業者の表示と評価される場合は対象になり得る)。消費者庁のステルスマーケティング規制に関する掲載ページを出典として掲載。

4-3代理店も、広告会社も、サイトを作った会社も、アフィリエイターも対象になる

この節の結論1つの法律で全員が届くのではない。法律ごとに、別の経路で届く。

この節が、この章の核心です。そしてここは、雑に書くと不正確になるところなので、慎重に進めます。

よくある説明は、「ステマ規制ができたから、アフィリエイターも責任を問われる」というものです。この説明は、正確ではありません。前の節で見たとおり、ステマ規制の名あて人は事業者(広告主)だからです。

では、外周にいる方々は安全なのか。──そうではありません。ここが大事なところです。届く経路が、ステマ規制ではないというだけです。

当サイトは、次の2つの事例を収録しています。

  • 売り手だけでなく、代理店も措置命令・刑事手続の対象となった事例があります。
  • アフィリエイト広告の作成者が書類送検された事例もあります。媒体側も無関係ではありません。

出典:当サイト「薬機法・景品表示法 早わかり」ページ冒頭の事実欄より(代理店の措置命令・刑事手続の事例/アフィリエイト広告作成者の書類送検の事例)。事案の詳細・当事者名には本書では立ち入りません。

つまり、実際に起きたことは「ステマ規制で全員が対象になった」ではなく、それぞれ別の法律・別の経路で、外周の人にも手続が及んだということです。

経路を分けて理解する

ここを図にします。同じ「対象になる」でも、経路が違えば、対策も違うからです。

図 4-3-1 誰に、どの経路で届くか(守備範囲マップ) 型8:守備範囲マップ
図 4-3-1 誰に、どの経路で届くか(守備範囲マップ) 経路A ステマ規制(景表法 第5条第3号の指定告示・2023年10月1日〜) 名あて人=事業者(広告主) ── 依頼を受けた第三者自身は、本規制の名あて人ではない。 ただし、広告主側の責任として問われる構造になっている。 アフィリエイト記事・比較サイトも、事業者の表示と評価される場合は対象になり得る。 経路B 景品表示法 本体(第5条第1号 優良誤認・第7条 措置命令・第8条 課徴金3%) 優良誤認は、故意・過失を問わない ── 「知らなかった」は成立の有無に影響しない。 第7条第2項の不実証広告規制により、裏づけ資料の提出を求められることがある。 当サイト収録:売り手だけでなく、代理店も措置命令・刑事手続の対象となった事例がある。 経路C 薬機法(第66条 明示・暗示を問わず/第68条 未承認の効能広告の禁止) 非医療機器(雑貨)である以上、効果効能は誰が言っても標榜できない(横断原則)。 第68条違反は課徴金の直接対象外だが、指示・命令等の対象にはなる。 当サイト収録:アフィリエイト広告の作成者が書類送検された事例がある。媒体側も無関係ではない。 ※「1つの法律で全員に届く」のではない。経路A・B・Cはそれぞれ別で、同時に成立し得る。 出典:当サイトの法令解説ページ(ステマ規制/景品表示法 第5条第1号・第7条・第7条第2項・第8条/薬機法 第66条・第68条/代理店およびアフィリエイト広告作成者に関する事例欄) ※本図は制度の整理であり、個別の事案について違法性を断定するものではない。
本図は経路の整理です。個別の表現・取引が実際にどの経路に該当するかは、所管官庁の最新の公表資料および弁護士等の専門家にご確認ください。
実務では、こう考えるのがいちばん早い

法律ごとの経路を全部覚えるのは、正直に言って大変です。ですので、現場では次のように考えるのが早いと思います。

  • 作った人:その文章を書いた本人。修正できる立場にある。まず自分の手元を直す。
  • 渡した人:素材・原稿・バナーを他社に渡した人。渡した先で使われた表現も、自分の名前で出ている可能性がある。渡した記録を残す。
  • 出した人:自社の媒体に載せた人。載せたものは自社の表示として扱われ得る。掲載前の点検を持つ。

この3つのどれか1つでも当てはまるなら、この本は自分の話です。──そして、この業界で仕事をしていて、どれにも当てはまらない人は、ほとんどいません。

4-4痛む人が一気に増える。だから業界ごと沈む

この節の結論関係者が増えるほど、業界は外からではなく内側から崩れる。

まず、単純な算数の話です。前回、痛みを受けたのはメーカーと販売店でした。仮にその数を1とします。今回は、そこに代理店・広告会社・制作会社・記事の書き手・配信する人が加わります。数は何倍にもなります。

数が増えると、質的にも変化が起きます。関係者が増えるほど、責任の押し付け合いが始まるからです。

  • メーカーは言います。「代理店が勝手に書いた」
  • 代理店は言います。「メーカーからもらった資料のとおりに書いた」
  • 制作会社は言います。「原稿は先方支給だった」
  • 書き手は言います。「そういう指示だった」

この4つは、どれも本当のことかもしれません。ですが、外から見ると、業界の内部で責任を押し付け合っている光景に見えます。そして、この光景こそが、業界の信用をいちばん早く壊します。

前回、この光景はほとんど発生しませんでした。関係者が少なく、責任の所在がはっきりしていたからです。今回は違います。関係者が多いということは、押し付け合う相手が多いということでもあります。

図 4-4-1 対象者が増える → 押し付け合いが始まる → 信用が内側から崩れる 型2:因果の連鎖図
図 4-4-1 対象者が増えると、業界は内側から崩れる 対象が広がる 商品を持たない人も 当事者が増える 1社の話でなくなる 押し付け合いが始まる 「先方の指示だった」 信用が内側から崩れる 外から叩かれる前に、割れる ③で交わされる言葉(どれも本当かもしれない。だが外からは同じに見える) 「代理店が勝手に書いた」   「もらった資料のとおりに書いた」 「原稿は先方支給だった」   「そういう指示だった」 ── 4つとも成り立つとき、責任を取る人は誰もいないことになる。 業界を沈めるのは行政ではない。押し付け合いのほうだ。 ※本図は構造の整理であり、事実主張ではない。前提となる対象範囲は 当サイトの法令解説ページ(図4-3-1)による。
本図は構造の整理です。特定の企業間で実際にこうしたやり取りがあったと述べるものではありません。

ここまで書いてきて、暗い話ばかりだと感じられたかもしれません。ですが、この構造には、明るい裏返しがあります。──押し付け合いが起きるのは、全員が同時に当事者になるからです。そして全員が同時に当事者だということは、全員が同時に直せる、ということでもあります

誰か1社が直しても業界は変わりません。けれど、いま渡されている素材、いま出ているLP、いま残っている記事。それを、それぞれの持ち場で直すことは、全員が今日からできます。これが第2部の内容です。

4-5水素は終わらない。終わるのは、私たちのほうだ

この節の結論問題は素材ではなく、素材の売り方にある。だから、直せるのは私たちだけである。

第1部の最後の節です。ここまで書いてきたことを、いったん引き受け直します。

私たちが確認してきたのは、次のことでした。事故が公的な記録になり、行政がすでに公表資料を出していること(第1章)。公開した文章はまとめて読める形にあること(第2章)。前回は表示で負けたのに、効果の話で反撃してしまったこと(第3章)。そして今回は、商品を持っていない人まで当事者になること(本章)。

これらは全部、水素についての話ではありません。ひとつも、水素という物質の性質についての話をしていません。全部、私たちがどう書いてきたかについての話です。

だから、こう言えます。──水素は終わりません。物質は、誰が何を書こうと変わりません。研究は、私たちの業界の売り方とは無関係に進みます(第5章で見ます)。終わるとしたら、終わるのは物質ではなく、いまの売り方をしている私たちのほうです。

これは絶望ではなく、むしろ逆です。もし水素そのものに問題があるなら、私たちにできることはありません。けれど、問題が売り方にあるなら、直せます。しかも、誰の許可もいりません。今日、自社のページを開いて、一文を書き換えればいい。それだけのことです。

図 4-5-1 終わるもの/終わらないもの 型10:結論ボックス
図 4-5-1 終わるもの/終わらないもの 終わらないもの 水素という物質そのもの 世界で進んでいる研究 まじめに作られている製品 ── 私たちが何を書いても、変わらない 終わり得るもの 効能を語る売り方 体験談で示唆する売り方 根拠のない数値を出す売り方 ── これは、私たちが選んでいるものだ 終わるのは水素ではない。いまの売り方のほうである。 ※本図は構造の整理であり、水素の効果・効能について、あるともないとも述べるものではない。
左側の「終わらないもの」は、水素に効果があることを意味しません。物質と研究の存在は、広告表現の適否とは別の問題である、という趣旨です。

CHAPTER 5

第5章 それでも、水素そのものは素晴らしい

この章を3行で

  1. 研究は、20年間ずっと積み上がっている。これは効果の話ではなく、量の話である。
  2. 素材に問題があるのではない。問題は、売り方のほうにある。
  3. 直すのに、許可も予算も設備もいらない。必要なのは、どこを直すかを知ることだけである。

この章の結論:素材は本物だ。だからこそ、売り方で殺してはいけない。

5-1研究は着実に積み上がっている

この節の結論20年間、研究は途切れていない。ただしこれは、効果の証明ではない。

当サイトは、水素に関連する学術論文を機械的に収集し、「研究マップ」として公開しています。現在の収録は、次のとおりです。

  • 総論文 4,084件
  • 世界の機関 3,606機関
  • 対象年 2006〜2026年
  • 日本の機関 237機関

出典:当サイトの研究マップページ掲載の収録件数。当編集部が保有する論文データの年別実数を独立に再集計した結果(2006年3件〜2026年147件・合計4,084件)と一致することを確認しています。件数は研究量であり、効果の有無・大小を示すものではありません。

この4,084件を、年ごとに並べたものが次の図です。

図 5-1-1 研究は、20年間ずっと積み上がっている(年別・収録件数) 型1:年表・タイムライン
図 5-1-1 研究は、20年間ずっと積み上がっている(年別・収録件数) 0 100 200 300 3 2006 96 198 2008 208 201 2010 238 201 2012 159 151 2014 216 205 2016 206 192 2018 223 216 2020 244 231 2022 229 235 2024 285 2025 147 2026 集計途中 20年間、途切れていない。これは効果の話ではなく、量の話である。 出典:当サイトの研究マップページ収録の論文データ。対象年 2006〜2026年/総論文 4,084件/世界 3,606機関/日本 237機関。 ※当サイトが収録した件数であり、世界の全論文数ではない。2026年は集計途中。件数は研究量であり、効果の有無・大小を示すものではない。
当サイトが収録した論文の年別件数です。世界の全論文数ではありません。2026年は集計途中のため、灰色で示しています。件数は研究量であり、効果の有無・大小を示すものではありません。

この図から読み取れることは、多くありません。読み取れることだけを、正確に書きます。

  • 2007年以降、一度も途切れていない。最も少ない年でも100件を超えています(2014年 151件)。
  • 2016年前後で止まっていない。前章で見た国内の公表があった2016年は205件、翌2017年は206件です。国内の出来事とは無関係に、研究は続いています。
  • 直近が最も多い。2025年は285件で、収録期間中の最多です(2026年は集計途中)。

3つめが、この節でいちばん大事な点です。──日本の業界がどう言われようと、世界の研究の量は減っていません。むしろ増えています。これは、私たちの売り方とは完全に独立した動きです。

どこで行われているか

もう一つ、地域の分布も見ておきます。当サイトの研究マップに掲載している、上位の国と機関数・論文数(延べ)は次のとおりです。

表 5-1-1 国別の機関数と論文数(延べ・上位) 型7:チェックリスト表
機関数論文数(延べ)
1中国1,2082,617
2米国350901
3日本237857
4ドイツ246499
5インド224354
6台湾71242
7ロシア107222
8英国66179
9オーストラリア43121
出典:当サイトの研究マップページ掲載の国別集計。論文数は延べ(複数機関の共著は各国に計上)のため、単純合計は総論文数と一致しません。順位は機関数・論文数の多寡であり、研究の質や効果を示すものではありません。件数は研究量であり、効果の有無・大小を示すものではありません。

ここでも、読み取れることだけを書きます。──研究は特定の一国に偏っておらず、複数の国で並行して行われています。日本は機関数で3位、論文数(延べ)で3位です。これは「日本の水素研究が優れている」という意味ではありません。研究が行われている量の話です。

そして、私たちが本当に受け止めるべきことは、たぶんこれです。──4,084件の研究は、私たちの広告のために行われたものではありません。研究者は、私たちのLPを書くために実験しているわけではない。にもかかわらず、その積み上げの上で商売をさせてもらっている。それが、この業界にいるということの意味です。

5-2素晴らしいものを、売り方で殺してはいけない

この節の結論問題は素材にはない。問題があるのは、素材を説明する言葉のほうである。

ここで、第1部全体を一度整理します。第1章から第4章まで、私たちが確認してきた問題は、次のようなものでした。

  • 安全に関わる事故が、公的な記録になった(第1章)
  • 公開した文章は、まとめて読める形にある(第2章)
  • 表示と実測の食い違いが、過去に公表された(第3章)
  • 責任を問われ得る範囲が広がった(第4章)

この4つを、もう一度よく見てください。どれ一つとして、水素という物質そのものの問題ではありません。事故は機器の安全設計の問題であり、公表は表示の問題であり、責任範囲は制度の問題です。物質の性質を問題にしている項目は、一つもない。

つまり、こういうことになります。私たちは、素材には問題がないのに、説明の仕方で危機を招いている

なぜ、そうなってしまうのか

これは、意地悪な話ではありません。むしろ、まじめさから始まっていることが多い。順番はたいてい、こうです。

  • ① 研究があることを知る。──ここまでは事実です。
  • ② お客様に伝えたくなる。──自然な気持ちです。
  • ③ 研究の中身をそのまま書くと、難しくて伝わらない。──実際そうです。
  • ④ わかりやすく言い換える。──ここで、研究が言っていないことが混ざります。
  • ⑤ 言い換えたものが独り歩きする。──もう研究とは別のものになっています。

④が分岐点です。「わかりやすくする」と「言っていないことを足す」は、実務上とても近い。だから、悪意なく越えてしまう。そして越えた瞬間に、それは薬機法・景品表示法の対象になり得る表現に変わります。

ここが、本書が第2部で扱うことの中心です。──わかりやすく、かつ、越えない。この2つを同時に満たす書き方は、ちゃんとあります。難しくはありません。ただ、知らなければ書けないだけです。

図 5-2-1 問題があるのは素材ではなく、説明の言葉のほうである 型10:結論ボックス
図 5-2-1 問題があるのは素材ではなく、説明の言葉のほうである 素材の側 ── 私たちが触れない領域 2006〜2026年 4,084件の研究 世界 3,606機関 複数の国で並行して進んでいる ── 私たちの売り方とは無関係に続く ※件数は研究量であり、効果の有無・大小を示すものではない 言葉の側 ── 私たちが選んでいる領域 効能を語る表現 体験談による示唆 裏づけのない数値・グラフ ── 第1部で見た危機は、全部こちら側にある ※そして、こちら側は今日から書き換えられる 素材は本物だ。だからこそ、売り方で殺してはいけない。 出典:左側は当サイトの研究マップページ(収録4,084件・3,606機関・2006〜2026年)。右側は当サイトの法令解説ページ(各法の整理)。対比は当編集部による整理。
左側は、水素に効果があることを意味しません。研究が行われている量を示したものです。件数は研究量であり、効果の有無・大小を示すものではありません。
第2部 実践編 ── ここから先は、無料会員登録でお読みいただけます

第2部は、読み物ではなく引くためのものです。自社のページの一文を持ってきて、その言葉が法律のどこに当たるのかを確かめ、安全な書き方に直すところまでを、2章・16節・約8万字で扱っています。以下は、その見出しの全部です。

CHAPTER 6

第6章 まず、何が違反なのかを知る

各節に、✕NG表現 → §根拠 → ✓安全な書き方の辞書、よくある誤解、自社の一文を通すための判定フローが入っています。

  1. 6-0 この章の免責と使い方
  2. 6-1 薬機法 ── 何を言った時点でアウトになるのか
  3. 6-2 景品表示法 ── 「根拠がある」とは何を指すのか
  4. 6-3 ステルスマーケティング規制 ── 「誰が書いたことになっているか」
  5. 6-4 健康増進法 ── 対象は「食品」に限られる
  6. 6-5 医療広告ガイドライン ── 名宛人ではないが、無関係でもない
  7. 6-6 特定商取引法 ── 効果ではなく「取引条件」を見る法律
  8. 6-まとめ 6つの法律は、自社のどこに重なっているのか

CHAPTER 7

第7章 危険ワード・ライブラリ(✕NG表現 → §根拠 → ✓安全な書き方)

言葉の種類ごとに引ける辞書です。各節に、✕NG表現 → §根拠 → ✓安全な書き方と、実際に問題になりやすい箇所が入っています。

  1. 7-1 効果・効能を語る言葉 ── 言い換えても、意味が同じなら同じである
  2. 7-2 身体の部位・症状を指す言葉 ── 動詞を消しても、これは残る
  3. 7-3 医療・治療を連想させる言葉 ── 借りた文脈は、返せない
  4. 7-4 体験談・口コミ・レビューまわりの言葉 ── 書き手を替えても、主体は替わらない
  5. 7-5 データ・研究の引用まわりの言葉 ── 線は、結論と製品のあいだにある
  6. 7-6 比較・優位性・スピードを語る言葉 ── 効能を語らなくても、法律は動く
  7. 7-7 「言い換えれば大丈夫」という誤解 ── 回避のかたちは、条文の側にすでに書かれている
  8. 7-8 ページ別チェックリスト ── どこを、どの順で見るか

第2部の全文(約8万字)と、A4・印刷用のPDF版は、無料の会員登録でそのままお読みいただけます。費用はかかりません。

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奥付 ── この本について

一斉摘発は目前かもしれない。薬機法違反を今すぐやめて、Webサイトや広告を修正しよう。

作成元 水素&健康業界AIインサイト 編集部
https://h2navi.jp/

「水素&健康業界AIインサイト」は、水素と健康に関する研究・行政資料・業界動向を、効能をうたわずに記録し続けている情報サイトです。順位づけや推奨は行いません。掲載する事項は出典を明示し、根拠が確認できないものは【要出典】として空けたまま残しています。本書もその方針で作りました。

本書は更新されません。制度は改正されます。条番号・施行日・ガイドライン名は、必ず出典元の最新版をご確認ください。更新は本書ではなく、上記サイトの各ページで行っています。

運営 スマートマーケティング株式会社(2011年設立)
https://www.smartmarketing.co.jp/

本書は、水素業界の事業者に向けた一般的な情報提供です。法的助言ではありません。特定の企業・製品・人物・団体の違法性を名指しで断定するものではなく、水素の効果効能も主張しません。個別の広告・表示・取引の適法性は、所管官庁の最新の公表資料や弁護士等の専門家にご確認ください。

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